ダークウェブと地理。
闇サイト、摘発です。(ニュースみたいな始め方。笑)
今から15年くらい前は、いわゆるP2Pソフト、WinMXやらWinnyやらが全盛期だった時代ですよね笑。あの頃もあの頃で、いろんなものを「物々交換」していた時代だったと思うのですが、まだまだ法規制が追いついてない中、初めて逮捕者が出たのもその頃だったでしょうか。
まあ、そうはいっても一般ユーザーが普通に使える時代でしたから、いわゆるダークウェブとはまた違いますね。
えーと、ダークウェブっていうのは、簡単に言うと、普通のブラウザ(ChromeやEdgeなど)では見れない(けどネット上には存在する)ウェブ空間(ウェブサイト)、といえばいいんですかね。
不思議なことに、URLも存在するんですが、専用ソフトじゃないと見れない仕様になっています。
ちょっと前に、仮想通貨NEMの流出問題の際に、資金洗浄先として流れたのがダークウェブでしたので、少し話題になりましたね。
ダークウェブと通常のウェブとの違い
私たちが普段閲覧しているウェブは、ダークウェブに対してサーフェイス(表層)ウェブと呼ばれる空間です。この関係を氷山に例えると、海の上に見えているのが私たちにおなじみのサーフェイスウェブで、水面の下に一般のユーザーは簡単には閲覧できないディープ(深層)ウェブがあり、さらにその下に特別なツールを使わないと閲覧不可能なウェブ空間である、ダークウェブがあります。
そのイメージを図にすると、このようになります。
まぁ、一応、匿名性も高いと言われてはいるダークウェブではあるのですが、そもそもなぜGoogle検索にも引っかからないようなところでサイトを運営するのかといえば、まぁ、多くの場合、一言でいえば、
やましいから。
いわゆる普段の生活では手に入らないもの、もっといえば犯罪につながるもの、場合によっては犯罪「そのもの」が、ブラックマーケット(闇市)として売買されているようです。要は、現実世界で言う「スラム街」をイメージするといいかもしれません。もちろん全部が全部なわけではないですが、環境的には犯罪の温床なんですよね。(※本当は、現実世界のスラム街=犯罪者の集まりではないんですが・・・)
さすがの私でも、ダークウェブを覗こうと思ったことはありません。
なんとなく、あの言葉が頭を過るんですよね。
あなたが深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ(ニーチェ)
いや、ニーチェは好きじゃないんですがね。っていうか、ニーチェ自身にこの言葉を返してやりたい気がするんですが。。。まぁそれは置いといて。
実際、ダークウェブなんて、どんな人がいるかわかったもんじゃありません。犯罪者ももちろんなんですが、サイバー攻撃なんかもできちゃう、いわゆるクラッカーと呼ばれる人達もいるので、安易に踏み込んで目をつけられたりするのは避けたほうが懸命です。
いやこれ、地理に関係ないじゃないですか、って思うかもしれませんが、いや、そうとも言えないんです。
実はダークウェブの歴史を紐解くには1995年にまで遡る必要がある。
ダークウェブにアクセスできる「Tor」の背景には、「Onion Routing(オニオン・ルーティング)」と呼ばれる技術がある。その開発が始まったのは1995年のこと。ワシントンD.C.にある米海軍研究試験所(NRL)が諜報活動や捜査、情報源とのやり取りなどを秘匿する目的で研究開発を進めた。そう、現在では悪名高いダークウェブは、元を辿れば米軍が開発したものだったのである。(中略)
匿名の通信を確保する「Tor」は米政府関係者だけでなく、中国やイランなどで検閲をかいくぐったり、独裁国家で活動家らが当局の監視を逃れてやりとりをするために使われるなど重宝されてきた。中東の民主化運動「アラブの春」でも、民主活動家たちを裏で支えたのがこの「Tor」などのネットワークだった。
(「仮想通貨問題で再び注目「ダークウェブ」その誕生の経緯を辿ろう(山田 敏弘) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)」より引用)
てなわけで、中国の大規模なインターネット検閲(グレートファイアウォール)をかいくぐるための他、あの「アラブの春」と呼ばれた民主化運動にも、実はこのダークウェブが使われていたようなんです。
一方、犯罪に使えるような武器やらツールやらが比較的容易に入手できることから、ISをはじめとするテロ集団にも使われるケースが多いというのも、容易に想像できます。
まあ、ダークウェブ自体は確かに、その成り立ちから見ても「使い方次第」ではあるんでしょうが、一般的にはその匿名性を「わざわざ使う」ときなんて、悪用するときぐらいだということでしょうね。
おそらくこの界隈は、警察とアングラ技術者とのイタチごっこになると思うのですが、とりあえず今回の闇サイト摘発が、多少なりとも抑止力になるといいですね。